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MY FOLON

私のフォロン フォロン現象

2025/01/10

東京に続き、1月11日(土)から名古屋市美術館でフォロン展が開催されます。はじめまして、名古屋市美術館・担当学芸員の久保田です。本展の担当になってから、フォロンの作品を見る日々も早半年。知らず知らずのうちにフォロンに感化されています。

毎日のように見ている風景に、ついつい顔を見つけてしまうのです。

建物の外観から、自動ドア、ガソリンスタンド、水道の蛇口まで、フォロンは、顔のように見えるものを発見しては写真に収めていました。何かの形が顔や他のイメージに見えることをパレイドリア現象と言いますが、ありふれたものを面白く見ようとするフォロンのまなざしが、これらの写真から見えてきます。

無題
n.d.
ゼラチン・シルバー・プリント
*名古屋会場のみ展示
無題
n.d.
ゼラチン・シルバー・プリント
*大阪会場のみ展示

さらにフォロンは、フックや金具、はさみなどの無機物に生命を吹き込み、紙の上を自由自在に動き回らせます。フォロンの想像力を介して表れるイメージは、「先入観をはぎ取って、自由に想像しようよ」と伝えてくれているようです。

無題
n.d.
墨、水彩
*名古屋会場のみ展示

そんなフォロンの作品にあてられて、景色の中に顔を見つけることが日課になってからというもの、一人で歩いていても、街灯やマンホール、建物が「いる」ような、どこかにぎやかで、ひとりではないような気がしてくるのです。ちょっと見方を変えるだけで、新しい世界が開くような感覚!フォロン、ありがとう!

…なんだか壮大なことを言ってしまいましたが、フォロンの作品から、彼のまなざしに触れていただけることと思います。会場では、特大メガネがみなさんを迎えます。フォロンが用意したメガネをかけて、想像の旅をお楽しみください!顔を見つけた方も、ぜひ教えてください。

久保田舞美 名古屋市美術館学芸員。2021年から同館に勤務。フォロン展では、テーマ解説・コラム執筆を担当。

©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025